献呈署名入りの一冊。その献呈先は・・・?
昨日とはうってかわって夏日になりそうなピーカンの陽射し。かったるい一日になりそうだ。
さて、毎週水曜日は古本くろねこ堂の新着本アップの日で、本日火曜日はそのためのデータ入力に精を出すことになっている。毎週目玉になる新着本があればいうことはないのだが、そうはうまくいかない。で、今週はとなると、ちょいと手薄なのは否めないのだが、なかに献呈署名入りの一冊がある。放送作家で、タレントとしてもしばしば登場していた塚田茂の『どんどんクジラの笑劇人生』と題された作品だ。サブタイトルに「人気番組で綴るテレビバラエティ史」とあるように、まだまだテレビが茶の間の人気者だった佳き時代の裏話が軽妙なタッチで綴られている。で、著者である塚田茂の署名と落款が入っているのだが、それだけなら特に珍しいことではない。
署名入りの場合、識語といって一言言葉が添えられている場合と、為書きといって献呈した相手の名前が入っている場合がある。今回の塚田茂の著作は、為書きが入っているのだが、その相手がなんと歌手の由紀さおりなのであった。サイン会などでファンに献呈したものが古本として出回ることはよくあるのだが、今回のように著名人への献呈本にお目にかかる機会はそうそうない。以前、東宝東和が50周年を記念して発行した社史『東和の半世紀』に、川喜多長政、かしこ夫妻の署名入りのものを扱ったことがある。その時の為書きが映画評論家の南部圭之助宛で、どんな経過をたどって古本として出てきたのかとても興味深かったのだが、今回もその来歴についつい思いをはせてしまうのであった。
著者の署名入りというのはけっこうあるもので、ずいぶん昔に早稲田の古本屋で半村良の毛筆による署名入りの一冊をみつけたことがある。まだ直木賞を受賞する前で、SF作家としてようやく頭角を現した頃だった。その後半村良は署名とともに落款も押していたようだが、その時の一冊には落款はなかった。当時は本物の署名かどうかもさだかではなかったが、後に半村良の実際の署名に接した時に筆跡が酷似していることからおそらく本物であろうと推測している。
つい最近では、地元の駅前のワゴンセールで、100円均一の山から立川談志の署名・落款入りを見つけたことがある。これはけっこう興奮した。確か、2000円くらいで売れたのを覚えている。これは、サイン会での一冊だと思うのだが、その後どういう経緯で古本屋の手に渡ったのか・・・出久根達郎風にこ洒落た短篇にでもしてみるかなんて思っちまうくろねこなのであった。
さて、由紀さおり宛の為書きの入った一冊には、どんなストーリーが秘められているのだろう。古本って、これだから面白い。
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