一人の政治家を執拗にバッシングし続ける異常さに恐れすら感じる今日この頃。
2006年から始まった朝日新聞のキャンペーンに「ジャーナリスト宣言」がある。2010年度の朝日新聞の会社案内には、「『ジャーナリスト宣言』は、メディア環境が激変するこれからの厳しい時代を生き抜いていくために、社員の一人ひとりが、真実と正義に根ざす『ジャーナリズム』の原点に立った行動をしていかなければならないという、新聞人としての決意表明です」と麗々しく謳っているくらいだ。では、何をもって「信実と正義に根ざす『ジャーナリズム』の原点に立った行動」といえるのか・・・。愚考するに、取材を通した「事実の追求」と、それを「検証・分析する洞察力」こそが必要なのではないだろうか。
残念ながら、そのふたつがいまの朝日新聞には最も欠けている。今朝の社説を一読して、その感を改めて強くした。「小沢氏流を超えて 『政局』政治から卒業を」という見出しに、「政局政治こそ朝日の得意とするところじゃなかろうか」とまずは突っ込みたくなるところをこらえつつ読み飛ばしていくと、なんとまあ何でもかんでも小沢一郎が悪いのオンパレード。その極め付きが次の記述だ。
(これより引用)
決断を支える権力を手にするためなら、小沢氏は時になりふり構わず行動してきた。
民主党代表だった2007年、参院選で第1党に躍進した。その後は自民・公明政権を徹底的に揺さぶり、次々に首相を退陣に追い込んだ。
日本銀行総裁を空席に、ガソリン税の暫定税率を期限切れにしたのは記憶に新しい。
09年の衆院選マニフェスト(政権公約)は、西松建設事件で代表を辞任する前に、小沢氏が敷いた路線に沿ってつくられた。「財源はなんぼでもできる」と言い切り、子ども手当の 規模を拡大させたのも小沢氏である。
こうした戦術が政権交代になにがしかの「貢献」をしたのは事実だろう。しかし、その「貢献」のおかげで政権が払わされている代償は甚大である。公約は財源のない空証文だと批判を浴びて、与野党協議もままならない。
(引用終わり)
いやはやであります。朝日にかかると、09年のマニフェストすら小沢一郎の責任であり、そのおかげでいまのスッカラ菅内閣は混迷しているということになる。ここまで小沢憎しをよくもまあ露骨にまくしたてられるものだ。小沢一郎が好きか嫌いかなんてのはもとより個人の自由だし、メディアにもその権利くらいはある。しかし、どこまで「事実」に則したうえでの「小沢嫌い」なのかが問題なのだ。
政権交代を目前にして起こった小沢バッシングの嵐の発端は、つまるところ西松建設事件であり、陸山会事件であり、闇献金があったのではないかという疑惑がその原点にある。では、その後、これらの事件はどうなったか。まるで大がかりな贈収賄事件のように検察のリークもまじえて報道されてきたが、結局のところ、検察は訴因変更をしたり、検察の調書が不採用になるなどのドタバタ劇を演じるはめになって、いつのまか帳簿の記載ミスという政治資金規正法違反で立件するのがやっとこさってのが実情だ。それだって、無罪になる可能性が高いと言われている。つまり、小沢狂想曲ってのは、訥弁鳥越君が言うように「大いなる虚構」だったのだと思う
言い方は悪いが、小沢憎しのあまりミソもクソも一緒くたにして小沢バッシングを繰り広げてきたわけで、敢えて言うならそれこそ犯罪的な行為ではないのだろうか。そこには、「信実と正義に根ざす『ジャーナリズム』の原点に立った行動」なんてものはいっさいない。
西松、陸山会の一連の事件がどうやら怪しくなってきたら、今度は自由党時代の政党助成金問題をほじくり返す始末。ほじくり返すのは結構だが、その前に小沢狂想曲の発端となった西松、陸山会事件について、しっかりと落とし前をつけることがジャーナリズムとしての責任のはずだ。その後に、自由党時代の政党助成金の出入りに疑惑があるのなら、しっかりと取材して「事実」を追求すればいい。こちらが駄目なら、こっちがあるさ、なんてイメージ戦略を展開しようとすること自体、「政局政治」に加担していることなんだから。
一人の政治家をここまで執拗にバッシングし続けるその異常さに、誰も気づいていないということにとてつもない怒りとともに恐怖すら覚えるくろねこなのであった。
ちなみに、宣言通りに朝日新聞の購読は解約しました。ただし、販売店とは60年にわたる付き合いであるため、今月一杯という約束になっとります・・・念の為。
PS
朝日朝刊の一面には、中国のデモが報じられていたけれど、昨日は「高江にヘリパッドはいらない」東京デモが行なわれ、デモの進路を変更ざせられたあげく、逮捕者まで出たという事実をまったく報じないマスメディアの愚劣さ。
・辺野古浜通信
【拡散願】警察が権力
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コメント
03年の米国のイラク侵攻反対デモの頃は、それでも朝日だけが報じていたし、先の大戦時の報道を猛省し今後誤った道は歩まないという主張をしていたと思うのですが、いざイラク侵攻が始まるや何があったのか変わりました。おまけに記者が米軍に従軍して甘っちょろい従軍記を出す始末。
私も親の代から多分くろねこさんより長く購読していたのをその当時止めました。
数年前に内田樹氏もそんなことを書かれていました。
投稿: desperada | 2011年2月21日 (月) 20時50分
いやー、朝日の社説は連日すごいことになってますねー。もう完全にいっちゃってますね(笑)。でもこれが戦前から続くこの会社の体質、DNAなんでしょう。そういう意味では星浩なんて、正統朝日人なのかもしれません(爆笑)。
投稿: kappaman | 2011年2月21日 (月) 10時56分