小沢狂想曲から見えてきたもの。
これまで見て見ぬ振りしてきた相撲ジャーナリズムが、どんなに八百長問題を糾弾しようといささかの説得力もない。週刊現代が八百長問題で相撲協会から訴えられ敗訴した時なんか、マスメディアはこぞって上から目線で「どうせ週刊誌のやることだから」ってスタンスで報道してたわけで、ま、言ってみれば相撲協会と組んでお手盛り報道してたんだからね。これこそ、八百長なんじゃないのってもんさ。
それはさておき、八百長問題はエンターティメントとしては面白いかもしれないけれど、こんなドタバタ劇の報道に誤魔化されてはいけない。たとえば、公判が迫っている陸山会事件だ。昨日のエントリーでは、石川議員側が水谷建設元会長の証人申請をしたようだと書いたけど、どうやら東京地裁が証人採用を認めたようだ。陸山会事件は水谷建設元会長の供述が核となる事件だけに、裁判の行方を左右しかねない地裁の決定といわなければならない。相撲の八百長どころの話ではないのである。
て゜、朝日は、社会面に「陸山会事件7日初公判」という記事を掲載しているのだが、なんと記事の中身の半分を使って、水谷建設元会長が検察に話したとされる供述の内容を掲載している。記事の冒頭で、「元会長は取材に『現金の授受は知らない』と話す」なんてサラっと紹介しておいて、アリバイ工作だけはここでも怠りない。しかし、こうした記事の組み立て方って、薄汚い作為以外の何物でもない。 元会長が「現金の授受を知らない」と話したということは、検察への供述の信憑性が薄れたということであって、そこを検証しないで供述の内容をまたしても「複数の関係者への取材を総合すると」というおためごかしでリークするってのは著しく公平な報道に反しているといわざるを得ない。
おそらく、この記事を書くに当たって、「現金授受は知らない」っていう元会長の発言はネックだったんだろう。つまり、自分たちの見立て通りの記事に仕立てるには、元会長の発言は消極的証拠になっちゃうから、ここは一行くらい軽く触れてとりあえず公平さは装っておこうってことなんだろうね。詐欺師もビックリの手口だ。ようするに、陸山会事件の核である裏金があったのかどうかってことはどうでもよくって、ほら、おかしいでしょ、なんか変でしょ、よからぬ金が動いてるんじゃないの、って「ムード」や「気分」こそが書きたかったってこと。こういうのは報道とは言わない。
だいたい、本当に元会長に取材したのか? 日刊ゲンダイの記事読んだだけじゃないのか。本当に取材したなら、もっとリアルで迫力のある記事になると思うけどね、プロのジャーナリストだったら。
小沢狂想曲から見えてきたものってのは、けっして「政治とカネ」の実態ではなくて、結局のところ「劣化するマスメディア」の姿だけなのかもしれないとしたり顔するくろねこであった。
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コメント
初めてコメントします。いつも鋭い分析と論評に共鳴しています。とくに、2日の若宮ザ・コラムについての文章には快哉を叫びました。
ところで、きょうの文章ですが、大きな読み違いがあるようなので、念のため、コメントします。
水谷建設側の証言はいまふたつに分かれていて、元会長(水谷功)は金銭授受を否定し弁護側証人になる、元社長ほか幹部5人は金銭授受を認め(ねつ造し)検察側証人となります。で、きょうの朝日の記事の後半部分は元社長側の話であり、じつは検察も立件できなかった作り話ですよね。それを、ここまで大きく書くことに、朝日の犯罪的な悪意というか意図を私は感じました。要は、朝日の記事は、金銭授受を否定している元会長の話ではなく、ねつ造している元社長の話だということです。
投稿: 北風小僧 | 2011年2月 4日 (金) 10時48分