「スウィングしなけりゃ意味ないね」
昨夜は、友人のジャズ・ヴォーカリスト、山岡未樹さんの「バースデーライブ」を聴きに、カミさんと連れ立って六本木のライブハウス「スイートベイジル」に足を運んだのであった。ちなみに、彼女は2007年に日本ジャズヴォーカル大賞を受賞、その年にリリースされたN・Y録音のアルバム「Dear Friends」では、ベニー・ゴルソン、ロン・カーターと共演。ロン・カーターとスリリングなデュオを展開する「Lullaby of Biadland」は絶品です。
昨夜のライブはピアノ・トリオをバックに、オープニングの「My Favorite things」から、このところ恒例のエンディングテーマとなっている「You've got a friend」までの12曲をじっくくり堪能したのであった。なかでも、圧倒的なドライブ感で疾走する「Summertime」はくろねこの琴線をいたく刺激してくれた。「Summertime」といえば、ビリー・ホリデー、ジャニス・ジョプリンのたっぷり情感を込めた、時に絶望感すら漂うブルージーな熱唱がくろねこの愛聴盤ではあるのだが、この曲って本来は子守唄なんですね。南部の黒人が背負わざるを得ない苦境の中にあっても、差別される者だからこその力強さがこの曲の根底にはある。だから、叩き込むようなリズムとビートで、前へ前へと突き進む躍動感溢れる彼女のアプローチは、この曲にとっての重要なテーマのひとつなのかもしれない。
なんちゃって、ナマ言っちまいましたが、ようするにドライブ感ってのは「ノリ」でもあります。デューク・エリントンも言ってます、「スウィングしなけりゃ意味ないね」って。ちなみに、この曲の原題は、「It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)」ってんですが、なぜ「It doesn't」じゃないんでしょう。黒人のスラングではこういう言い方もある、って説もあるけど、よくわかりません。ま、それはともかく、久しぶりに心がスウィングしたジャジーな夜なのでありました。
さて、ジャズに限らず何事にも「ノリ」って大事なわけで、これをはずすとすべてがおじゃんてことがよくある。民主党がズッコケたのも、マニフェストは捨てるわ、内輪もめはするわで、政権交代の「ノリ」を忘れちゃったのが原因なんですね。「脱原発」の流れも同じ。いまの「ノリ」を大切にしないと、すべては元の木阿弥になっちゃいます。だから、澤地久恵、大江健三郎、瀬戸内寂聴らが呼びかけ人になって、脱原発を求める1000万人の国会請願署名運動が動き始めたのはとても意味あることだ。どう考えたって、普通の市民よりは、著名人の方が影響力は大きいわけで、マスメディアだって市民のデモは無視できても、ノーベル文学賞の作家が動いたらスルーするわけにはいかない。これだって時期を逸したら意味がないわけで、この「ノリ」が大きなうねりとなって巨大なリズムを刻みだし、そのリズムで日本が世界が「脱原発」に向けてスウィングしたらサイコー・・・てなことを夢想するくろねこであった
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コメント
確かに「It Don't Mean A Thing」は黒人特有の普通の言い方です。(くだけた感じでは白人も言いますが)私はアメリカに6年住んでおりましたゆえ何度もこういう「文法に合わない」言い方は聞いています。「I ain't got no money」なんて言うフレーズも良く聞きます。
投稿: Yoshi | 2011年6月17日 (金) 21時52分