解釈改憲と集団的自衛権行使容認はセットではない。いま議論すべきは、解釈改憲の犯罪性だろう。
ワールドカップが始まって、早くもブラジルが1勝。これからの1ケ月というもの、サッカーで浮き足立ってばかりいると大変ことになりますよ、とは思いつつもついついにわかサッカーファンになってしまう今日この頃なのである。
そんなことより、集団的自衛権だ。公明党は、1972年の政府見解とやらを言い訳に使って、限定的行使容認で決着をつけようとしているらしい。この72年の政府見解では、「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」の場合にのみ武力行使が憲法上許されると定義したもので、集団的自衛権行使は認められないって結論だったんだよね。それをオニギリ顔の高村君がわざわざ持ち出して、「限定的な集団的自衛権なら否定はされていない」なんてことを言い出したわけです。ま。公明党に対する助け舟みたいなもんです。で、公明党はそれならいいんじゃない、ってことでシャンシャンにしようって腹なんでしょう。
でも、これもおかしな解釈で、「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」って、そもそも日本が攻撃されている状態です。だからこそ、当時の政府見解は、こうした事態なら武力行使もOKですよってなったはずなんだね。つまり、個別的自衛権の範疇です。集団的自衛権というのは他国の戦争に参加するということなんであって、「国民の生命」が脅かされるという状況とはまったく次元が違います。
自民と公明の与党協議ってのは、こうしたまやかしの議論ばかりなんだね。集団的自衛権という言葉の「自衛」というところばかりが強調されるからわけわかんなくなっちゃうんであって、集団的軍事権とでも言い換えた方がよりその実態が明確になろうというものだ。そんなんだから、中国の戦闘機が異常接近してくるのも集団的自衛権を認めないからだ、なんてアホなこと口走るコメンテーターが出てくる。
さらに、このところのニュースを聞いてると、「公明、解釈変更容認へ」なんて言い方が罷り通っている。でも、これもおかしな話だ。集団的自衛権行使容認するかどうかということと、憲法解釈変更とはまったく別の話で、けっしてセットではない。ところが、新聞・TVは、これがあたかもセットであるかのようなミスリードをしている。おそらく、意図的でしょう。だからこそ、どんなケースが集団的自衛権に当たるのかなんて机上の空論を、いかにも白熱の議論であるかのように報道するんですね。
いまなすべきことは、解釈改憲なんて乱暴な手法の是非についての議論であって、集団的自衛権をどうするかなんてのは、それから先の話だ。憲法を解釈変更することの異常性について、「本の窓」(小学館)6月号で菅原文太との対談した弘中弁護士がとてもわかりやすく解説してくれているので、是非ご一読を。というわけで、お後がよろしいようで。
(これより引用)
要するに民主主義とは何かという問題なんですよ。民主主義というのは、国民が直接統
だから、代表といえども憲法の範囲のなかでしか法律はつくれないし、したがって法律
ですから、「この憲法の枠全体を変えるためには国民が特別に投票をしなければ変えら
憲法は文字で書いてあるし、そのときの社会事情もあるから、一定の解釈の幅というの
(引用終わり)
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コメント
予想されていたとは言え、さすがに公明党の情けなさには、ほどほど呆れますわ。
余程、野党に下るのが怖いのか、はたまた飯島の恫喝が効いたのか。
公明党の連立離脱で困るのは、むしろ自民党であろう。次期選挙で選挙協力がなければ100人は落選すると言われてるのに。
それをネタに逆に脅しをかければよいものを。
もう二度と平和の党とは呼ばせないし、呼びたくないものです。
投稿: オクやん | 2014年6月13日 (金) 18時21分
しかし、まぁ~
「金魚の糞」とか「下駄の雪」とか決してありがたくない言われかたをしながらも、それでも付いて行く公明党ってな何なんでしょう?
「だったらいいよ!ボクチャンほかの人と組むから」と言われるのを恐れているんでしょうけど、そうなったら「あっそう!じゃあ次の選挙では選挙協力できないからね!」と言い返してやれば自民党なんてまっ青になるのに。
そんな強力なカードを持ってるのに、それをちらつかせもしないのは、よっぽどアホか、もともと集団的自衛権に賛成なのかどっちかですね。
まっ、それ以前に くろねこさんが指摘しているように解釈改憲なんて許されるのかっていう話だよね。
閣議決定、閣議決定っていうけど、閣議なんてしょせん行政府の長の会議だろうに。
そんなんで憲法の解釈を変えていいのか?
ちゃんとした規則(法律)じゃなく、通達で物事を進めていく国だからな~。
投稿: こなつ | 2014年6月13日 (金) 16時08分