「伊方原発は現時点で考えられる最高の安全対策が施されている。福島と同じことが起きることはない」(中村時広愛媛県知事)。まるで予言者だな。
4月の熊本を中心とする九州大地震で一躍注目を集めたのが、九州から四国、本州へと続く日本最大の断層帯である中央構造線だ。注目を集めた理由のひとつが、この断層帯のほぼ真上に位置する四国電力の伊方原発で、ひとたび周辺で大きな地震が起きた場合は福島第一原発以上の過酷事故につながると懸念されているからだ。「日本で一番再稼働させてはいけない原発のひとつ」とも言われているのもそのためなのだ。
ああ、それなのに、そんなリスクはなんのその、四国電力は伊方原発を再稼働させちゃいました。本来なら再稼働反対運動の先頭に立たなくてはいけない愛媛県知事は記者会見で、「伊方原発は現時点で考えられる最高の安全対策が施されている。福島と同じことが起きることはない」って断言したそうだ。「福島と同じことは起きることはない」ってある意味正解かもね。なぜなら、もし地震によって中央構造線が大きく動いたら、福島第一原発どころじゃありませんから。
さらに、30年以内の発生確率が70%とされる南海トラフ巨大地震の想定震源域に極めて近いのも、伊方原発にとっては難儀な問題だ。最大規模でマグニチュード9.1とも言われている地震ですからね。おそらく、どんな専門家だってその被害を想定することなんてできないに違いない。「現時点で考えられる最高の安全対策が施されている」なんてのは、気休めにもなりません。
・東京新聞社説
伊方原発再稼働 住民は誰が守るのか
ゲッペルス気取りの経産相・世耕君は、「電力の一層の安定供給の確保に向けた重要な前進だ」なんてコメントしているんだからいい気なものだ。この夏も、原発なしで電力の安定供給はできているってのに、さすが原子力村肝いりの政治屋だけのことはある。
福島第一原発事故からわずか5年。原発事故に対する危機感はますます風化して、そのうち新たな原発建設なんてことを言い出す時代がやってくるんじゃなかろうか。「核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発を止めるべきではない」って公言してはばからないいかれた政治屋がいるくらいですからね。
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