「恒久的な法整備」を無視して「生前退位は一代限り」&厚木基地騒音訴訟の「高度な公共性」は自民党改憲草案に散りばめられた「公益」「公の秩序」につながっている。
グレッグ・レイクの訃報が・・・まさかなあ、ガンだったとは。キング・クリムゾン時代からのファンで、ELPで来日した時の雨の後楽園球場コンサートはいまでも忘れられない。またひとつ星が消えてしまった。合掌。
ところで、「政府が天皇陛下の退位に関し、皇室典範に今の陛下に限り認める根拠規定を置いた上で、特例法を制定する案の検討に入った」そうだ。結論ありきの恣意的な有識者会議でさも専門家の意見を聞きましたという体裁だけ整えて、最後は「恒常的な法整備」という天皇の意思を無視して、特例法でお茶を濁すとは。そこには、生前退位に反対するに日本会議の意向が働いているのは間違いない。
それにしても、なんで国会でちゃんとした議論をしないんだろう。有識者会議なんてのはとりたてて権威も権限もないわけで、そんなところの意見なんかより、選挙で選ばれた国会議員がしっかりとした議論をするのが筋というものだろう。事は皇室典範だけでなく、憲法にだって関わることですからね。「天皇は祈っていればいい」なんてことを口走る大学教授なんてのがメンバーの有識者会議なんて、何の足しにもなりません。
3年前の「主権回復の日」の式典で、ペテン総理や自民党議員が「天皇陛下万歳」と声を上げたことがあったが、おそらくこれからは政府の都合のいいように天皇の政治利用が進んでいくことだろう。
でもって、自衛隊機の深夜・早朝の飛行差し止めを求めた厚木基地騒音訴訟で、住民側が逆転敗訴。「自衛隊の運行には高度の公共性がある」というのが最高裁の判決理由なんだが、「高度な公共性」というのは便利な言葉なんだよね。
・厚木基地騒音訴訟 自衛隊機差し止め認めず 住民側の逆転敗訴
ここで注目しなければならないが自民党改憲草案だ。現行憲法の21条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とあるんだが、自民党改憲草案ではこの条文に規制をかけるように「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」とある。
戦う憲法学者の小林節氏が指摘するように、「この『公益』と『公の秩序』は一時的には政府が認定」するもんなんだね。つまり、どんなに表現の自由があろうとも、「公益」や「公の秩序」に反していると政府が認定したら、物言えば唇寒しになるってわけだ。自民党が目論む方向で憲法改正が進んでいったら、基本的人権に関わる訴訟では「高度の公共性」を錦の御旗にした判決が乱発されるようになるかもしれない。
国が口にする「公益」や「公の秩序」とは、「権力者の利益」「権力保持のための秩序」なのだということを、改めて肝に銘じたい師走の朝であった。
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コメント
「高度の公共性」って?
そうすると、公共性には中度とか低度とかの
区別があるんでしょうか?
その説明もして欲しいもんだ。
今度の判決も、「砂川裁判」(1959年)の「統治行為論」が
激しい批判に晒されたため単に言い換えただけではないか。
投稿: 岡目五目 | 2016年12月 9日 (金) 15時28分