「自己責任論再燃?」なんてことを他人事のように報道するメディアの無責任、無自覚、恥知らず!!
安田純平さんが帰国して、やっぱりというタイミングで「自己責任論」がネットを中心に駆け巡っている。そして、これをTVのニュースが取り上げているんだが、その論調がなんとも他人事なんだね。TVだってジャーナリズムの一翼を担っているはずなのに、「自己責任論」への自らの見解はまったく語ろうとしない。両論併記しましたよっていうアリバイ作りしてるようなものだ。
英雄として迎えろ、なんてことは言わないけれど、紛争地帯などのデンジャラスゾーンを取材するのはジャーナリストの使命のひとつであることは間違いない。幹部連中が政権の鮨友だらけという現状を恥じ入る気持ちがあるなら、いまこそジャーナリズムとしての矜持を見せるべきなんだね。そうした中で、ジャーナリストとして今回の安田さんの拘束を検証すべきなのだ。「自己責任という声もある」なんてへたれなニュースを垂れ流していること自体、恥ずかしいことと思うべきなのだ。
2012年にシリア内戦を取材中に銃撃されて亡くなったジャーナリストの山本美香さんの同僚で、自身もジャーナリストである石丸次郎さんが当時を振り返りこんなコメントをしている。
「バッシングは論外だが、死んだからといって過剰に英雄視するのも違和感がある。リスクを避ける準備が十分だったか、ジャーナリスト側の検証も必要なはずだ。だが、原因や再発防止の議論は進まなかった」(東京新聞「こちら特報部」より)
したり顔のTVニュースのコメンテーターに聞かせてやりたいね。紛争地帯に限らず、犯罪多発の危険地帯などへの取材だって、勇気あるシャーナリストの存在があればこそなのだ。ベトナム戦争の悲惨さだって、それを伝えるジャーナリストがいなければけっして世界に発信されることはなかった。TVという安全地帯でごたく並べているようなのは、ジャーナリストでもなんでもないってことだ。
・安田純平さん解放、身代金にまつわる議論は「あくまでも”アンダーグラウンド”のもの」?
「自己責任」なんて言葉が政治家の口から出始めたのは、2004年に高遠菜穂子さんたちがイラクで武装勢力に拘束されたのがきっかけなんだね。自民党幹事長だった安倍晋三、官房長官だった福田康夫、文部科学大臣だった河村建夫たちが「自己責任」をほのめかし、公明党の冬柴鉄三は「損害賠償請求をするかどうかは別として、政府は事件への対応にかかった費用を国民に明らかにすべきだ」なんてことまでのたまってくれた。
さらに、防災担当大臣の井上某にいたっては、「家族はまず『迷惑をかけて申し訳なかった』と言うべきで、自衛隊撤退が先に来るのはどうか。多くの方に迷惑をかけたのだから、責任を認めるべきだ」なんてことまで喚いていたんだから、こんなのが国民の負託を請けた国会議員ってことに改めて怒りを覚える。
それはともかく、「自己責任という声もあります」なんてことをシレっとニュースにしているメディアってのは、もうそれだけで死んでます。
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