テレビ朝日『相棒元旦スペシャル』は、脚本が一部歪められていた!!
昨日のエントリーでテレビ朝日『相棒元旦スペシャル』について、ラストシーンにおける杉下右京のセリフに込められた社会的視点と同時に「ドラマとしては物足りなさもある」と書いたんだが、そうした違和感の原因がわかった。
ちょっとネタばれになっちゃうんだけど、ドラマの中で非正規従業員が企業に現状改善を訴えて押しかけるシーンがあったんだね。そこでは、デモのリーダーが、持論を喚き散らすヒステリックな女性として描かれていた。そのカリカチュアライズされた演出にちょいと鼻白む思いがしていたのだ。
そうした思いを抱いたひとはけっこういたようで、ツイッターではそんな指摘をする人もいた。そんな中、なんと脚本家自身がブログで「局による書き換え」があったとその経緯を説明していたんだね。
「右京さんと亘さんが、鉄道会社の子会社であるデイリーハピネス本社で、プラカードを掲げた人々に取り囲まれるというシーンは脚本では存在しませんでした。」
「訴訟を起こした当事者である非正規の店舗のおばさんたちが、あのようにいきり立ったヒステリックな人々として描かれるとは思ってもいませんでした。」
やっぱりな、と思う。ラストにおける右京のセリフについて「これこそが制作現場の矜持だったに違いない」と書いたんだが、う~ん、こんな書き換えがあったことが発覚すると、前言撤回したくもなってくる。
脚本家の太田愛氏にとってもいたたまれないからこそ、ブログでその経緯を詳らかにしたのだろう。その思いを汲んだ上で、まだ未見の方はこのドラマを見て欲しい。
・脚本家/小説家・太田愛のブログ
相棒20元日SPについて(視聴を終えた方々へ)
非正規雇用への現代社会での脚本家の問題意識を根底から覆すような書き換えが、なぜ行われたのか。
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) January 2, 2022
相棒20元日SPについて
脚本家・太田愛さん
訴訟を起こした当事者の非正規のおばさんたちが、いきり立ったヒステリックな人々として描かれるとは思ってもいませんでした。 https://t.co/yryNuabjSp
『相棒20元日SP』は非正規、自己責任というテーマやイッセー尾形、片岡孝太郎などのゲスト、杉下右京の名演説からして傑作に成り得たが、違和感が拭えなかった。脚本になかったシーンを太田愛氏がブログに綴っていて得心した。妙だと思ったのは正にそのシーンだったからだ。娯楽と言えばそれまでだが。
— 立川談四楼 (@Dgoutokuji) January 2, 2022
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